ハンガリー、ベルギー、フィンランドとヨーロッパのFIBAランキング上位国との国際強化試合が沖縄アリーナで行われました。

現役のNBA選手である渡邊雄太が合流して日本代表にどのようなケミストリーが生まれるのか。
代表メンバーが内定して個々の役割はどうなるのか。
興味の尽きないところです。
オリンピックは無観客での開催が決定しており、間もなく本番が始まります。
915FE17F-EF04-4262-82D1-F3570D8D99EA.jpeg 2.13 MB本番前の貴重な強化試合。
目の前で観た、日本代表の現在地を探りたいと思います。

敗戦から見えたもの

現地で観戦したのはベルギー戦とフィンランド戦です。
結果はベルギー戦が70-73、フィンランド戦が71-76。
共に敗戦でした。FIBAのランキングではベルギーは37位、フィンランドは32位で42位の日本より上位ではありますがフィンランドは若手中心のチームで、実際の実力がランキング通りと言えるかは疑問が残ります。

65889EFC-2216-4DCE-B169-DAB479A61DED.jpeg 578.12 KBそれでも、上位チームに対して今年の代表チームは敗戦とはいえ善戦しました。2年前上海ワールドカップで全敗した日本代表と比べると、まるで歯が立たなかったあの時からは成長した姿を見せているのではないかと、密やかな期待を持つに至りました。

敗戦から見えたもの
日本の2-3ゾーンディフェンスは通用するのではないか。

世界を相手にした場合相手のサイズやウィングスパンの長さにリフレクションされるとボールがひっかかってしまう。その感覚はこの大会で掴めたのではないか。

ギャビンはフィンランドにダブルチームに来られていました。日本のビッグマンもパワーアップしたのではないか。

76E4FEF2-2007-4E83-A635-DF993AA9C6B2.jpeg 1.18 MBそれなのに、リバウンドが取れていないのは1回のリバウンドで取れないなら2、3回先のアクションを読んでルーズボールを奪うことの方が重要だと言うこと。

そんなことを学んだのではないかと思います。

チームの大型化。大貴のPG

ポイントガードを大貴にする事でスターターは大貴(192)、比江島(190)、渡邊雄太(206)、アヴィ(206)、ギャビン(206)この5人の平均身長は200.4センチです。日本代表が平均身長で200センチを超える日が遂に来ました。

大貴はワールドカップを思い出したのではないでしょうか。リフレクションされてパスカットされた事、パススピードが違った事、この沖縄3戦はオリンピックには出ないチームではありますがそこを体感して本番に臨むことができます。

12A38104-2BB4-40AA-996C-6FAEA6259948.jpeg 1.22 MB大貴はポイントガードとして成長していました。
ベルギー戦第2クォーター残り1分30秒タイムアウト明け、この時、天傑とアヴィを右サイドに2枚縦に並べており、右コーナーの雄太が上がってくるスタッガードスクリーンのセットを用意していたと見えました。これを読んで大貴のマーク、ルコントは大貴の右側をケアしてついていました。そこで機転を利かせた大貴は即座に自らのドライブに切り替えてルコントを抜き去りレイアップに持ち込みました。

続く残り50秒のオフェンスではアヴィとのピックアンドロールでドライブしてタフショットを決め切りました。

そんな判断力とポテンシャルを持っているからドライブからキックアウトが有効になります。瞬発力では劣るかもしれませんが、大貴のサイズ、IQの高さ、ボールハンドリングはポイントガードとしてオリンピックでも通用する見通しが立ったのではないかと思います。

際立った渡邊雄太のキャプテンシー

沖縄シリーズで最も注目を浴びた選手は間違いなく渡邊雄太でしょう。今シーズントロントラプターズで契約を勝ち取った現役NBA選手です。

日本に凱旋での沖縄における活躍は期待通りでした。
ハンガリー戦25点7リバウンド4アシスト、ベルギー戦16点4リバウンド4スティール、フィンランド戦17点3リバウンド2アシストのスコアはチーム随一です。

そして実績に裏打ちされた自信から発せられる彼のチームを鼓舞するキャプテンシーは日本代表には必要不可欠になりそうです。

458144A0-0539-450B-95CB-3D436E1ED3E6.jpeg 478.92 KBベルギー戦第1クォーター日本は出だしからシュートが入らず9-25と16点のビハインドを負いました。
第1クォーター終わりのベンチで雄太がチームに檄を飛ばしているのが見えました。
ベンチに下がっている時でも1人ベンチからコートサイドに立ち声を出し続けています。フィンランド戦でも同様です。

チームに合流して最初の大会とは思えないリーダーシップを発揮していました。彼は代表の精神的な支柱となってくれる事でしょう。

流れを変えるピース比江島、富樫、ベンドラメ

シュートが決まらないとかディフェンスがハマらないなどゲームが停滞する時間帯はどうしてもあるものです。そういった時ゲームの流れを変える選手が必要です。
そんな役目を務めそうなのが八村、馬場雄大が合流するとシックスマンを担うことになるであろう比江島と2人のポイントガード、富樫とベンドラメです。
97AA9660-46BC-488D-9EA6-54AB77D9C313.jpeg 813.97 KB比江島が集中力を高める時、ペイントに切れ込み独特のステップワークでレイアップ、ミドル、時にはステップバックしてスリーポイントを狙います。ベルギー戦11点フィンランド戦13点と対戦相手が強くなると共にスコアアップするところにも彼の非凡さを感じずにはいられません。

32F21C1F-1278-4C45-9C26-346000180603.jpeg 1.28 MB富樫は今シリーズでは13、4分のプレータイムですが、出てきてそのスピードとハンドリング、スリーポイントを打つ事でペースを変えることを役割として担っていると感じます。主にオフェンスにアクセントをつけたい時にポイントガードとして登場するのだと思います。ベルギー戦第4クォーター終了間際にトラジションからの速攻でファウルテイクしてプレッシャーのかかる場面でフリースロー2本きっちり決める富樫の勝負強さは心強く感じます。

058FC8E7-9665-4E15-9D66-9E30E83A290F.jpeg 1.1 MB一方ディフェンスでアクセントが欲しい時呼ばれるのがベンドラメでしょう。今シリーズではディフェンスで流れを変えてチームに大きな貢献をしていました。マッチアップの相手にしつこく且つ激しくチェイスする事で相手にストレスを与えていました。

スリーポイントの確率を高く且つ安定させたい


日本代表が沖縄で見せたセットの中で本番でも使われると思われるのが金丸、渡邊雄太、比江島をを対象としてスリーポイントを打たせていたフロッピーと呼ばれるセットです。

左右対象のポストの位置にアヴィとギャビン(天傑)などのスクリーナーを配置してスリーを打つ選手が逆サイドへ走り2回スクリーンにヒットさせてフリーを作るセットです。

今シリーズ金丸は8/18(44.4%)、雄太は4/14(28.5%)のスリーポイント確率でした。

94C1443A-E4E8-48FC-806B-ECBE54A71F40.jpeg 845.3 KBメンバー全員がスリーを打てるチームを作って来たのですから世界を相手に戦うとなると確率は安定して35%程度以上はは欲しいところです。

ハンガリー戦(35.3%)フィンランド戦(38.5%)は入っていましたがベルギー戦は21.1%でした。

ベルギー戦では効果的にオープンが作れていなかったことが浮き彫りになっています。

本番ではスリーを打たせる新たなセットが用意されている事でしょう。

リバウンドの出来が勝利へのカギ

沖縄3戦通して課題となったのはリバウンドが取れていない事です。


ハンガリー戦はリバウンド42本と合格点ですがベルギー戦30本(ベルギー45本)、フィンランド戦29本(フィンランド42本)と相手から大きく取得本数を離されています。
69445A85-0DBF-4AF2-AA60-ADA86B37AB73.jpeg 1.42 MB密集地帯で一発でリバウンドを取りきれない。ボックスアウトなどのチームとしてリバウンドの意識が足りていない。など理由は考えられますが、特にオフェンスリバウンドが取れていないところは問題意識を持ってもらいたいと思います。

ベルギー戦ではオフェンスリバウンドは1本のみでした。(ハンガリー戦ベルギー戦共に6本)
しかもこの1本がPGのベンドラメによるものということから「本当にオフェンスリバウンド取りに行っていたのか?」と疑問を呈したくなります。

オフェンスリバウンドをベルギーは15本、フィンランドは16本を日本代表から奪っています。こんなにリバウンドで差をつけられるとポゼッション数で単純に20点分以上差をつけられることになるので勝つことが難しくなってしまいます。現にベルギー、フィンランドには敗退しています。
BD282E06-4C46-4694-8AB5-C99A52B2DEFC.jpeg 1.26 MBこれはリバウンドだけではなく、ルーズボールなどの球際に弱さがあることでポゼッションを失っているケースがあるので注意してもらいたいところです。

これは203センチの八村1人が加わることで解決することとは思えません。オリンピックで歴史的な1勝をもぎ取るためにはチーム全員が1ポゼッションを大切にする意識改革を残りの期間にアジャストしてもらいたいと思います。

もちろんハリーバックのためにオフェンスリバウンドに行かないと言う選択肢もありますが、トラジションディフェンスの遅れで速攻をもらっている様子を見ているとその選択はしていないと見えます。
91FF9485-55A6-4FC5-A223-5C20524B64FC.jpeg 1.33 MBオリンピック本番ではランキング2位のスペイン、4位のアルゼンチン、16位ドンチッチのいるスロベニアとの対戦です。42位の日本がどのチームに勝ったとしても世界中が驚くジャイアントキリングになります。
恐れるものは何もありません。今週埼玉サイデン科学アリーナでの最終の国際強化試合で八村と雄大の富山コンビの合流で可能性を見せてもらいたいとの思います。