ロースコア、スローペース。この2チームが対戦すればこうなる。Bリーグ第3節アルバルク対信州ブレイブウォリアーズの対戦は10月16日、17日アルバルクホームアリーナ立川立飛で行われました。
結果は第1ゲーム65-58、第2ゲーム86-74で2試合ともアルバルクの勝利となりました。

特に第1ゲームは激しいディフェンスの応酬となりました。守り合いのゲームがここまで奥深いものなのかと新たにバスケット観戦に見るべきものを見つけた思いです。
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強固なディフェンスを軸にピックアンドロールとボールムーブでオープンを作りスリーポイントを放つチームコンセプト。この近しいコンセプトを持つ両チームに勝敗を別つ違いをもたらしたものは何か?

深掘りしてみようと思います。

今シーズンの信州ブレイブウォリアーズ

昨シーズンB 1昇格1年目の信州は勝久マイケルHCのもと20勝34敗西地区7位、リーグ14位で昇格1年目のチームの中では過去1番の成績でした。その特徴は昨シーズン平均失点75.1点(リーグ2位)のディフェンス力を持つ守備型のチームであるということです。

今シーズンは富山から岡田、滋賀から前田怜緒、三河から熊谷とオフェンスに力を持つ若手3人を獲得しました。また、昨シーズン軸となっていたマクヘンリー、マーシャル、ホーキンソンが揃って継続となり、ペイント内の失点が少ないディフェンス力を維持しつつホーキンソンのスリーポイント、岡田、熊谷、前田のペイントアタックでの得点力の強化を狙った補強をしたようです。

開幕から第3節終了した段階でわかる今シーズンの特徴は3つあると思います。

マクヘンリー、マーシャルのリムプロテクトが強く失点は少ないこと。(今シーズンここまで平均69.5点)
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オフェンスはハーフコートバスケットをしっかり組みピックアンドロールからのセットをしてくるので攻撃回数が少ないこと。

ホーキンソンを中心にスリーポイントの試投数は高いのですが、その確率はここまで25.7%とリーグ最下位(10/18時点)となっているということです。

昨シーズンはスリーポイントをどんどん放ってくるけれどガード陣のペイントアタックが少なかったのですが、岡田、熊谷、前田の3人のインサイドアウトでバランス良くなった印象を持ちます。

ディフェンスではマイマンをしっかりマークして、ローテーションがあまりなく、スイッチを多用しないシステムです。またゾーンはほとんど使いません。オフェンスはピックアンドロールを主体としています。こうしたところはアルバルクのチームスタイルによく似ています。

アルバルクと信州のピックアンドロール

第1ゲーム第1クォーターのお互いのファーストオフェンスはピックアンドロールの掛け合いでした。

第1クォーター残り9分34秒、アルバルクの最初の攻撃。
ボールハンドリングしたロシターと大貴がハンドオフ。トップに大貴、右ハイポストにアレックス、そこから大貴とアレックスのピックアンドロールから大貴がドライブでシンプルに決めました。

この日のアルバルクのピックアンドロールはドライブ、もしくはパスを捌いてエルボージャンパーなど、シンプルに攻めたことで信州ディフェンスに迷いを生じさせたようです。
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第1クォーター残り9分18秒、信州の最初の攻撃。
左コーナーの岡田がマクヘンリー、マーシャルの2枚のダウンスクリーンを使ってトップに上がります。
熊谷からフリーでボールを受けると岡田がマクヘンリーとピックアンドロール→岡田がジェイル(ドリブルをつきながら止まり背中にマークマンを抑える)→マクヘンリーが先にロールしてゴール下のロシターに体を当てて岡田のコースを作る→岡田はそのコースに向かってスネークドリブル、レイアップ。

互いにきれいに決まりましたが、そこから先、お互いディフェンスの圧が高くシュートが入らなくなりました。

スリーポイントディフェンスの違い

特にスリーポイントは前半で両チーム通算でホーキンソンの1本だけ。試合を通してもアルバルクが2/16(12.5%)、信州は4/16(25%)でした。

今シーズンこれまで両チームの1試合のスリーポイントの平均はアルバルク6.8/16.6(41%)信州6.5/25.3(25.3%)です。
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この日のスリーポイント、アルバルクは試投回数はいつもと変わりありませんが成功確率を大きく落としています。一方信州は試投回数が大きく減って、成功確率は変わりません。

アルバルクは信州にスリーを打たせず、信州はアルバルクにシュートをタフにさせていた。ということになるでしょう。

ターンオーバーとリカバリー

信州はターンオーバーの数は平均的(13本)なのですが、ターンオーバーからの失点が多いチームです

この日もターンオーバーはアルバルク10本、信州は17本でした。ここからの失点はアルバルクは8点に対して信州は21点です。信州はターンオーバーすると約6割方失点してしまう計算です。
一方アルバルクはターンオーバーからの失点は4割ほどでした。

第2クォーター残り8分57秒
栗原がトップにいるマーシャルとピックアンドロールします。そして栗原はダイブしたマーシャルにパス。しかしコーナー三ツ井のマークをしていたザックが反応、マーシャルの前でブロックしてボールを弾きます。さらに、こぼれ球は信州の大崎→コーナーの三ツ井に渡りましたが、ザックが三ツ井をチェイスして抑えターンオーバーとなりました。

ザックのグッドディフェンスでした。
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激しい守り合いの中、2日間でペイントからの得点、リバウンド、ファストブレイクからの得点は両チームに大きな違いはありません。

ただし、アルバルクと信州を改めて比べると、ミスをしてターンオーバーしてしまう本数、加えてそこからの失点、また、ターンオーバーしてもそこから失点に繋がらないようにリカバリーする正確さの違いがあることがわかるのです。

キャプテン大貴。

信州戦の2戦両日で存在感を示していたのがキャプテン田中大貴です。第1ゲーム16点第2ゲーム15点いずれもチームハイでした。信州からの激しいディフェンスでチームが停滞した時、ピックアンドロールからのドライブやブルックリンネッツのケビン・デュラントばりの高確率ミドルシュートを連続で決めています。
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大貴からは昨シーズンCS出場を逃した悔しさからのリベンジを誓い、今シーズンにかけていることが伝わります。
「チームのあるべき場所」に誘なうリーダーとしてプレーで背中を見せている、そこの違いは間違いなくあるでしょう。

今週は宿敵千葉とのアウェー戦を控えています。
ディフェンディングチャンピオン千葉ジェッツは今シーズンも得点92.8点(リーグ1位)、FG%51.6%(リーグ1位)、リバウンド36.8本(リーグ12位)と、いいスタートを切ったことがスタッツからもわかります。

負けられません。

大貴のキャプテンシーに期待します。

photos by kii