遠藤の放ったシュートが放物線を描きゴールに吸い込まれました。


スリーに見えたこのシュートは2ポイントでしたがこれで点差は14点、第4クォーター残り1分46秒。

「とどめを刺された」と言わざるを得ない一撃でした。



天皇杯準決勝、アルバルク東京対宇都宮ブレックスの試合は54-64ディフェンスのチーム同士の対決は宇都宮に軍配があがりました。



この試合は宇都宮のディフェンスの質がアルバルクのそれを上回ったと言えるのでしょう。


こうしたビッグゲームでは始まりと終わりが大事ですが、第1クォーターと第4クォーターで集中力を発揮した宇都宮は試合巧者でもありました。


第1クォーターの宇都宮のディフェンスは素晴らしかった。


宇都宮はアルバルクのピックアンドロールに対してオールスイッチのローテーションで守りました。このローテーションはスイッチの遅れやダブルチームに行った際のヘルプが遅れることで綻びが出るところを攻めるのですが、宇都宮はアルバルクのディフェンスよりたしかな精度でほとんど遅れることなくついていました。


そのためパスの出しどころがなくなり、ガードの誓哉や元基、オチャはドリブルをつく時間が長くなり

個人技での打開に頼らざるなくなりました。

第1クォーターは11-15でしたがアルバルクの11点は全てデションの個人技での打開によるものです。チームオフェンスで崩せたものではありません。



このゲームにルカHCは隠し玉を用意していました。

ここ1ヶ月半腰痛で離脱していたアレックスの起用です。


リーグNo.1のリバウンド獲得率を誇る宇都宮に対してヨーロッパでは3番ポジションのデションと身長203㎝のケビンではどうしてもインサイドで分が悪いことは明白でした。

この日アップしているアレックスを見たアルバルクブースターは「今日はいける」と思ったことでしょう。かく言う私がそうでしたから。


第1クォーター残り2分48秒アレックスはゲームに登場しました。

するとリバウンド獲得がオフェンスに於いてもディフェンスに於いても格段に奪取できるようになり、ディフェンスではローポストからの攻撃、中央突破に対する対応もしっかりしました。明らかにアレックスが入る時間帯はアルバルクの優位性が保たれることはわかりました。



しかし、リバウンドに飛んだアレックスが着地した時に痛そうに顔を歪め、腰に手を当てていたところを見て、出場時間は限られたものになることを悟りました。アレックスは無理をして出場していました。


最終的にアレックスはこのゲーム14分のプレータイムです。


ディフェンスの強度を高める展開でしたが、アウトサイドのシュート確率は試合を通してお互いに良くありませんでした。スリーポイント確率は宇都宮が23%でアルバルクが25%です。


そうなるとセットオフェンスとこれに対するディフェンス、ペイントアタックの確率がクローズアップされてきます。


そこの数字は大きな差がありました。2ポイントフィールドゴールはアルバルク36.4%に対して宇都宮は53.3%となります。


そしてスティールとファストブレイクです。

アルバルクが2本のスティールに対して宇都宮は8本です。


数字が示すように試合のイニシアチブは宇都宮が握っていました。



興味深いプレーがありました。


宇都宮のローポストにおけるダブルチームディフェンスです。


アルバルクもリーグ戦で前節渋谷戦でも多く使っていました。アルバルクはジャクソンに対して仕掛けていましたが、パスを素早く捌かれてアウトサイドから決められ翌日はあまり使いませんでした。


アルバルクの最近の得点源のひとつにケビンのアウトサイドのスリーポイントとのローポストからのペイントアタックがありますが、ここのローポストにボールが入った時にケビンにロシターとテーブスがダブルチームに入ります。



ケビンもわかっていますから素早くパスをウィングいた誓哉に出そうとしましたが素早いローテーションから戻った遠藤にスティールされてしまいました。


アルバルクと宇都宮のローテーションの精度の差がそこにあります。


一方で、アルバルクがこの日勝機を見出した唯一のシーンは第3クォーター残り6分から残り3分アレックスとザックが入ったところでした。


点差は31-38、宇都宮が7点リード。


アレックスが入ったことでリバウンド獲得とインサイドが安定したことでセカンドチャンスが増えてザックのバスカンで一気に同点にしました。



ところが、宇都宮が強かったのはこのクォーターここからテーブスとギブスのピックアンドロールなどで再度6点差まで引き離したことです。


そして最終クォーター立ち上がりに9-0のランで一気に41-56の15点差にその差を広げられると5点詰めるのがやっとであったのは仕方ない展開でした。



アルバルクはこれからCS出場争いからCSに向けてディフェンスの精度の向上という課題がある、一方でアレックスの復帰という明るい材料を見出せました。


デションがその能力を発揮できるようになり、オチャがウィングプレイヤーとして開花してきたことでBリーグ制覇を目指すピースは揃ってきました。


あとは現行戦力で勝ちながら大貴の復帰を待って5月にスリーピートを目指して欲しいです。


photo kii