今シーズンの開幕カードは2016年Bリーグ開幕時と同じ琉球ゴールデンキングスとアルバルク東京との対戦となりました。5年前は代々木第一体育館で開催されましたが、今回の舞台は新しくできた琉球のホーム「沖縄アリーナ」です。

両チームともオフシーズンに積極的な補強を行い多くのBリーグブースターから東西それぞれのカンファレンスの優勝候補と目されています。

第1節の結果は63-62、82-75で琉球が5年前の雪辱を晴らす連勝という結果となり、今シーズンアルバルクとの対戦の勝ち越しを決めました。

オフの補強で弱点を克服したはずのアルバルクが何故失速したのか?その原因を探ることにします。

アルバルクの大型補強

今オフアルバルクは昨シーズンアレックスが怪我をしてインサイドを押し込まれた反省がひとつ。
レギュレーションの変更から外国籍選手と帰化選手、アジア枠選手がオンザコートスリーが可能になったことで帰化選手、アジア枠選手がいないことの不利があった事がひとつ。
以上から宇都宮から帰化選手のロシターを採り、千葉から昨年優勝のMVP走れるビッグマンのサイズの獲得をしてインサイドの充実を図りました。
さらに、北海道で昨シーズン平均14.6点稼いでいたPG、ジョーダン テイラーを移籍させる事に成功しました。
日本人では日本代表候補のシューター安藤周人、昨年レンタル移籍でB2仙台で主力PGとして活躍したセクシー笹倉を戻しました。これで誓哉、すっさんの移籍の穴を埋めて磐石の体制を築きあげました。
昨シーズンCS出場を逃したリベンジをファンと共に誓っています。
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琉球バランスのいい補強

一方で琉球もCS準決勝で2戦目、3戦目で千葉に敗れたゲームでわかるように、クーリーの代わりとなるインサイドの枚数が少なかったことにあるように見受けられました。また、琉球も帰化選手がいなかった事が外国籍を使う上で不利となるチームのひとつではありました。

そこで帰化選手のベテランビッグマン小寺さん(小寺 ハミルトン ゲイリー)走れて外もあるダーラム、日本代表ビッグマンの渡邉飛勇を獲得して、さらにCSで大活躍したPGフリッピンを千葉から採りました。

中、外バランスのいい補強をして西地区最強のロスターを完成させています。
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アルバルクと琉球のそれぞれの特徴

9/30沖縄アリーナでの開幕試合、アルバルクはPGに大貴を起用し、インサイドにはロシターとアレックスの布陣でした。対する琉球はPGにフリッピン、田代、今村のシューターにインサイドにエバンスとクーリーでした。

前半はアルバルクのペースで大貴とアレックスのピックアンドロールからエルボーでパスを受けたアレックスのミドルシュートがよく決まりました。

基本はハイピックから大貴や元基がドライブでペイント侵入そこからスクリーナーのビッグマン(アレックス、ロシター、サイズ)にパスを供給してそれぞれが得意シュートを選択する形をとっていました。具体的にはアレックスやサイズならミドルジャンパー、ロシターならフローターという具合です。

もちろん大貴や元基は直接ドライブアタックもするので選択肢が絞りにくくなっていました。

ハーフコートバスケットを緻密にこなすスタイルは全く変わりません。選手が変わってこれを生かすセットもいろいろを試している感じです。オチャに打たせるフロッピーなどウィングからスリーを打たせるセットがありましたが、あまりうまく行っていませんでした。

さらにロシターとアレックスのハイローによるアリウープ(これは未遂でしたが)も試されていました。

ポストアップではロシターやサイズがエバンスとマッチアップの場面でローポストでパワープレーをしていましたが成功率は高くありませんでした。(エバンスはパワーもあります)

ディフェンスでは第2クォーター残り8分33秒、ローポストでのエバンスのポストアップに対してマッチアップが周人でした。ここはミスマッチなのでウィークサイドのオチャがエバンスに寄って周人とダブルチームでエバンスのパスミスを誘っていました。

また、インサイドではロシター、サイズ、アレックスを2人づつ回しており、ビッグマン3人の同時起用はしませんでした。しかしロシター、サイズで前半でブロック3本決めるなど昨年までと違い、インサイドの強さを見せていました。
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対する琉球はクーリーのペイントからの得点やオフェンスリバウンドからのセカンドチャンス、それからテイクファウルからフリースローを得て繋いでいく展開です。

第2クォーターからクーリーを下げる時間帯で小寺、エバンス、ダーラムのビッグオンスリーのラインナップにしました。得点源のクーリーを休ませる時間帯にビッグラインナップを使うのはアルバルクを困らせるには良い戦略でした。エバンスの3番起用がザックや周人のマッチアップになるのでなかなか止められません。

また、基本戦略としてピックアンドロールを攻撃の起点としているアルバルクに対して琉球はボールマンにビタビタにマークする激しいディフェンスしています。
プレイメイクする大貴、元基、周人はやりにくそうにしていました。
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第1ゲーム最大15点差を逆転される

第1ゲーム3クォーター残り3分45秒
オチャのスリーが決まってアルバルクの52-37
ここが最大15点差が開いた時点でした。第3クォーター終了時に54-45。エバンスのファウルドローンからフリースロー2回、フリッピンのジャンパー、エバンスのスリーで一気に9点差に詰められて最終クォーターでした。

琉球は小寺、ダーラム、エバンスのビッグラインナップに岸本、フリッピンの布陣。

岸本はファウルを厭わず、大貴に激しく当たります。4クォーター残り8分30秒までに立て続けに3つのファウルを犯し田代に変わりますが、これがチームを鼓舞しました。

アルバルクは3番ポジションのエバンスをペイントで止められず、得点を許しファウルを犯しフリースローを与えます。
オフェンスもハンドラーに対する琉球フリッピン、田代の激しく当たるディフェンスにアルバルクの攻撃の起点ハイピックがかからずリズムの悪いシュートに終始して入らなくなります。
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例えば残り9分16秒 大貴のキックアウトからオープンになったザックは目の前にエバンスがクローズアウトしてきたのが目に入ったのかドリブルして中に入って潰されます。打つべきところで躊躇しました。

残り6分54秒 オチャがウィングでオープンでパスを受けます。ここでもエバンスのクローズアウトを嫌がってワンドリしてペリメーターのシュートにして落としています。

その直後田代にトップからスリーを決められて1点差。54-53。あとは崩れるように得点を許し、アルバルクがこのクォーター初めて得点するのは残り3分35秒オチャが今村から3ポイントのシュートファウルをもらったところです。その後元基のスリーとサイズのペイントで得点するも1点届かず強烈な逆転負けを喫しました。

第2ゲームも第4クォーターで失速

翌日の第2ゲームではオフェンスリバウンドはアジャストして第1ゲームが7本(琉球は13本)から第2ゲームは12本(琉球11本)リバウンド総数でも23本(琉球46本)から32本(琉球35)と改善されました。

しかし基本的なアルバルクの攻撃スタイルはピックからミドルジャンパーで激しくピックユーザーを追われると機能しなくなる展開は変わっていません。

琉球はオンツーでクーリー、ダーラムを使いオンスリーでエース、クーリーを休ませなら小寺、エバンス、ダーラムで3番ポジションにエバンスをあげてアドバンスを得てどんどんアイソレーションしていました。

第2ゲームの勝負どころはアルバルクが第3クォーター逆転して61-53、8点差から第4クォーターの琉球のファストオフェンスです。
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アライメントはトップにフリッピン、右ウィングに岸本右コーナーにエバンスです。

岸本がエバンスのマーク、サイズにダウンスクリーン
エバンスは上がってくるっと回って岸本のマーク、オチャにスクリーンセットしてオチャの動きを止めます。

岸本はそのまま逆の左ウィングに上がります。スイッチして追うサイズには左ミドルポストのアレックスのマーカー、ダーラムがスクリーンで止めました。

岸本はフリーでフリッピンからパスを受けてスリーを成功ました。61-56

クォーター開始10秒で5点差にされて完全に流れを持って行かれてしまいました。

その後はエバンスのダンク
牧のシュートコンテストからディフェンスリバウンドからダーラム→牧のファストブレイクで同点61-61。

周人のボーズハンドダンクで反撃しましたが流れは変わらず最終スコアは75-82でアルバルクは敗れました。
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これから見てみたいアルバルクの戦術

第1節は琉球にやられてしまいましたが、リベンジはCSで対戦しましょうと現地琉球ブースターと勝手に約束してきました。

開幕戦で敗れるのはBリーグ始まってはじめての経験のアルバルクですが、これもいい薬だと思っています。

まだまだチームケミストリーを構築中です。大貴と周人、ロシターとアレックス、サイズとオチャ連携のミスが見られています。ここがバチッと決まるようになると遂行力が上がって手がつけられないチームになる事でしょう。
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テイラーがコンディション上がってオンスリーができる時エバンスのようなスラッシャー系選手に対抗できます。

ルカに試してもらいたいのがロシター、サイズ、アレックスのアルバルク版ビッグラインナップです。めちゃくちゃ強力です。

周人、オチャのダブルシューターをコーナーから放つ得点量産パターンも間違いなく実現する事でしょう。

まだまだ攻撃パターンはめざましく発展するでしょう。

 
ディフェンスも時にプレスやゾーンも作り上げればものすごいチームになる可能性があるのです。まだまだ2/58です。今後のアルバルクを楽しみにしていきます。
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photos by ともみん