壮絶な戦いはオーバータイムにもつれ込み、残りは3.5秒。エンドから入れられたボールを誓哉がドリブルしてレイアップインまでもっていくタイムトライアルはわずかにブザーが先に鳴りました。


アルバルクの今シーズン最終節はアウェイの千葉との対戦でした。


第1ゲームは81-92。この敗戦でアルバルクのポストシーズンの進出はなくなりました。そして第2ゲーム、アルバルクは意地を見せましたがオーバータイムの末に、109-111。2点差の敗戦となり、今シーズン最終節は連敗での幕引きとなりました。


代替試合が残り2試合ありますが、今節の現在東地区2位の千葉戦との対戦から見えた、来シーズンへのアルバルクの課題を検証してみようと思います。


【インサイドでは勝負にならなかったアルバルク】


第1ゲーム、第2ゲームともローポストにポストアップされ、サイズやダンカンにパワープレーを仕掛けられると1on1では全く止めることはできませんでした。


ペイントでの得点を2試合見てみるとゲーム1、アルバルク32点、千葉44点。ゲーム2、同42点と52点です。両ゲーム共に10点以上離れています。


このペイントアタックはサイズ、ダンカン、ギャビンのビッグマンだけではありません。ショーターのレイアップも含まれています。



ここで、勘違いをしてはいけないのは、アルバルクのペイントのウィークポイントは4番、5番のサイズの不利だけの問題ではないということです。 


今、他チームのブースターさんから「カークの存在って大きかったのですね。カークがいないと全く違うチームですね」と言われたことがあります。しかしアレックスが戻ったらインサイドの問題がクリアになるのかといえば、そうではない、と思うのです。


アレックスがいた時もガードナーやスミスに40点以上無双されていました。12月の富山戦ではスミスとソロモンのツインタワーに辛酸を舐めています。

今は、その傾向がもっと大きくなっているだけで、本質は能力のある5番プレーヤーは基本的に守れていません。



また、合わせて大型スイングマン、千葉ならショーター、宇都宮ピーク、大阪ニュービル、川崎アギラール、三河ウイッティングトン、この辺りの選手も守ることができませんでした。


ローポストのパワープレーと3番、ガード系外国籍選手の1on1のペイントで失点が多い。これが課題の第1と言えるでしょう。


【オフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイント】


同様にリバウンドにも課題があります。

千葉戦でのトータルリバウンドは第1ゲームは45本第2ゲームでは41本(対するアルバルクは33、31本)そのうちオフェンスリバウンドは16本と15本(アルバルクは11、15本)です。

両日トータルリバウンドで10本、オフェンスリバウンドで5本差があります。

セカンドチャンスポイントでは第1ゲームでは21点、第2ゲームでは11点取られています。



ペイントでポジションを奪われてしまう傾向はシーズン通してありました。

 

チーム全体でリバウンドやルーズボールに対する球際の粘り強さを対策する必要がありそうです。


【ファウル数とフリースローの確率】


第1ゲームでは第1クォーター12-28と16点差のビハインドとなりましたが、第2クォーターで35-38とワンポゼッション差までカンバックしました。


第3クォーターでリズムを失い55-66と失速してしまいました。


その原因の多くは、ペイントでファウルを犯しフリースローを与えてしまい、千葉は85%の高確率でフリースローを沈めた事にあります。



このゲームは千葉は23点アルバルクは11点のフリースローポイントがあります。この日のスコア81-92の点差11点よりフリースローの点差12点の方が大きいのです。


この日のアルバルクのフリースロー確率は68.8%です


ペイントで与えるファウルとフリースロー確率には課題が残りそうです。


【かからないピックアンドロール】


アルバルクの代名詞といえば4年前からルカがアルバルクに持ち込んで日本のバスケの主流となった戦術、ピックアンドロールです。


多くのブースターは気づいていると思いますが、今シーズンはこのピックにディフェンスがヒットしません。


千葉戦でも、元基がトップでエントリーしてケビンが上がってスクリーンをセットしますが富樫は元基のドリブルの動きに合わせて少しファイトオーバーしてスクリーンをすり抜けて元基について行きます。



スクリーンにヒットしていた頃に比べるとズレが少なく元基や誓哉はディフェンスのプレッシャーを受けながら次の動き出しをします。リピックも空振りします。スクリーンを使わずリジェクトする時もありますが、ピックがヒットしていないからリジェクトしても効きません。


元基や誓哉はケビンがピックに来た時、ケビンのマークマンのサイズにショウ(追われる)されるとドリブルで下がりパスが苦しくなり、パスミスをしてしまいます。


今シーズンは攻撃の際のパスの精度が落ちました。ミスが増えてパスからのターンオーバーが増えているように思います。



なぜ、ピックがヒットしなくなったのか。

ひとつはプレーの精度の問題。

ひとつはディフェンスに読まれて対応されている事による問題があります。


システマティックに4年間同じ事を繰り返していれば、対応は難しくありません。「対応に対する対応」このイタチゴッコが対戦相手より劣っている事を認めることが必要です。


多くのピックからの派生パターンがディフェンスの混乱を招きます。


トップの位置からのピック以外のオフボールスクリーンでフリーマンをつくり、ボールムーブさせてカットを繰り返す方がチャンスは広がっていました。


【ギャンブル要素の高いアウトサイドチーム】


今季のアルバルクは5月3日現在三河を抑えて38.8%でスリーポイント確率リーグNo.1チームに変貌しています。


これは意外に思う方が多いかもしれません。

アレックスを欠いてインサイドで勝負できない分、オープンを作って効率よくスリーポイントを狙うアウトサイドに活路を見出そうとして来たからです。


それは、間違いなく正解です。現実にスリーポイント確率1位になっていることは相手チームからすれば脅威に違いありません。



また、これを1年の間に実践したアルバルクはものすごい対応力を持つチームである事を証明しています。


問題は、安定性、確実性に欠ける事です。

川崎や千葉に比べて地力の差を感じてしまうのは、ミスマッチをつきインサイドから確率高く着実に得点を重ねる両チームに対して、アウトサイドに主戦場を設け、その確率を高めて効率を求めても、ギャンブル性が高いからです。


ペイントで勝負できるオプションが必要です。


【田中大貴の存在】


アルバルクにはこの男がいます。今節は怪我でシーズン後半のプレータイムは少ないですが、大貴は単なるシューターではありません。日本では比江島と並んでペイントへのドライブを高確率で決めることができる数少ない大型のガードの選手です。



ピックアンドロールの精度は高く自分でもペイントアタックでき、ロールマンも使えます。


ピックマンのポストプレーに頼らず、ペイントの確率を上げることが課題であるならば大貴の存在は大きいです。


そこにこの1年で急成長したオチャがいます。

まだまだペイントアタックの確率は高くありませんが、確率の高いアウトサイドシュートを持ちながら類稀な身体能力を駆使してスクリーンユーザーとして成長してペイントの確率を上がれば、地力を高めることが可能と見えます。



【本当にディフェンスのチームなのか】


アルバルクは本来ディフェンスのチームと言われ続けていました。失点を70点程度に抑えて75点程度得点するイメージです。


5/3現在の失点のランキングを見るとアルバルクは78.83点でリーグ8位です。


得点は82.8点でリーグ7位です。

いわゆる中位です。


因みに1位宇都宮(70.85)2位信州(74.35)3位琉球(74.88)でした。



インサイドにウィークポイントを持ち、ペイントでファウルを重ねていては失点は少なくはなりません。


本来アルバルクはオフェンスをコントロールして相手の攻撃回数を減らしてゲームを作るチームなのではないかと言った人がいます。


これには大きく同意しました。

一回ずつのオフェンスをしっかり遂行することで時間をかけます。あまりトラジションオフェンスのイメージがないことも確かです。


アルバルクは今シーズンもあと2試合で全て終了となります。ポストシーズンが無くなった事はブースターとしても残念ですが、今シーズンアルバルクのバスケを楽しんだ事実は変わりません。


今からアルバルクロスが大変心配です。来シーズン課題を克服してチャンピオンにカンバックしてもらいたいです。


ストーブリーグこちらもどうなるのか。早くもそんな心配すらしています。


photo kii