昨シーズンアルバルクと新潟はコロナの影響で中止になった試合もあり、1回のみの開催でした。その試合が、アルバルクホーム、アリーナ立川立飛で平日に水曜日に行われ、その試合に新潟が勝利。その敗戦からアルバルクは、どういう訳か、なかなか水曜日に勝てなくなっていきました。

そのような、いいイメージのない水曜日の立飛開催のゲームでしたが79-78と1点差でアルバルクの逆転勝ちとなりました。

今シーズン、強力なロスターの底上げを図ったアルバルクに対して、なかなかロスターが決まらなかった新潟を相手に最大14点差のビハインドを負うなど苦戦を強いられました。
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なかなかしっくりと来ないアルバルクのチームケミストリーと、前節三河にも1ポゼッション差で敗れるなど、いい試合をしながら勝ちきれない新潟の課題について検証します。

今シーズンの新潟アルビレックスBB

今シーズン新潟は9ゲーム終了時点で2勝7敗東地区10位となりました。ここまでの平均得点は74.6点(リーグ18位)ながら平均失点は78.4点(8位)です。

その新潟は、外国籍ビッグマン3人のロスコ•アレン、チリジ•ネパウエが208センチ、ジェフ•エアーズが209センチと揃ってサイズが大きく、リバウンドは強力で(平均37本リーグ11位)ゴール下の守りは固いです。

それだけではなく、ハンガリー代表のロスコはスリーポイントの確率が今節まで48.5%と高確率であり、佐藤公威、池田らベテランシューターと共にチームのスリーポイント確率39.2%(リーグ3位)に貢献しています。

さらにアジア枠選手、フィリピンのコービー・パラスは3番スラッシャーとしてフィジカルが強く、スリーだけではなくドライブにも長けています。
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また、ロスコとパラスがよく走るため、ハーフコートオフェンスだけではなく、昨シーズンあまりなかったディフェンスリバウンドや相手ターンオーバーからのトランジションから速攻も出るようになり、チームのバランスは良くなった印象です。

ただし、昨シーズンと同じくターンオーバーがやや多く(平均13本リーグ14位)ミスからの失点が多く見受けられます。

そのような特徴を持つ新潟の各人のチームでの役割としては納見、岡本がボールを運び、佐藤、ロスコのスリーポイントでスペースを広げてネパウエ、パラスがペイントで得点を稼ぐいったバスケットをしているように感じます。

アルバルクのオフェンスケミストリー

アルバルク-新潟の今節のゲームはアルバルクがリードしても逆転され、そこから離される展開で、ゲームを通してそのほとんどがアルバルクが新潟の背中を追っている状況でした。

そうなる原因はアルバルクの少しづつのコンビネーションの緩みにあるように感じられました。

アルバルクのやりたいオフェンスはピックアンドロールやハンドオフのモーションオフェンスを連動させて相手のディフェンスのズレを大きくして、オープンを作りフィニッシュするというものでしょう。

こうした、「やりたいバスケット」は伝わるのですが、どこかギクシャクとして余裕がなく、決まり事を辿っているだけのように見えてしまいます。

流れるようなコンビネーションにならず、最後決めきれない。といった事が見受けられるのです。
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第1クォーター残り5分50秒
周人とロシターがピックアンドロールしますが、ピックがかからず佐藤公威のファイトオーバーに追われた周人はロールしたロシターに慌ててパスを出します。受けたロシターがドリブルに入ったところをパラスにスティールされました。パラスから走り出したロスコにパスを出されてファストブレイクを決められます。

続く残り5分36秒
トランジションから反撃したいアルバルクはロシターがアレックスとハイローのアリウープを試みますが、パスが合わずアウトオブバウンズになりそうなところアレックスが大きくパスアウトします。
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右ウィングの大貴がそのパスを受けてミドルポストのロシターとパス交換のあと、ディフェンスを充分に崩せていないままトップから大貴がスリーを打ちますが外れました。

リングから大きく跳ねたボールは納見の前に転がります。パス一閃、前を走るロスコに連続ファストブレイクを許しました。

意図は良いのですが、どうにもピリッとしない決まりの悪さが残るプレーでした。

アルバルクのディフェンスディスコミュニケーション

アルバルクのディフェンスでも同様に意思の疎通が取れていない場面がありました。

アルバルクのディフェンスはミスマッチを出来るだけ作らないようにマークマンにしっかり付きますが、やはりどこかのタイミングではスイッチします。そのローテーションの判断に齟齬を見かけます。
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第1クォーター残り7分10秒
新潟の攻撃トップの納見にロスコがピックに行きます。
納見はロスコのスクリーンを使わずリジェクトしてドライブに行きます。ピックを使うと予想していたマーカーの大貴は遅れて納見を追います。

大貴が遅れているのでロシターがロスコのマークを外してカバーするべきでしたが、外のシュートがあるロスコが気になったのでしょう、ロシターはロスコのマークに行ってしまい納見のドライブコースを開けてしまいました。納見のレイアップが楽に成功しました。

第1クォーター6分45秒
ロスコがトップでネパウエとピックアンドロール。
ネパウエのマーカーのアレックスはゴール下でドロップして守ります。

ドライブするロスコはペイントタッチからエルボーやや後方のネパウエにキックアウトしました。アレックスはドロップのまま動かず、フリーのネパウエはミドルを決めました。

ロスコにはロシターが付いていたのでアレックスがクローズアウトする方が良かったように見えました。

しかし、もしかしたらアルバルクのスカウティングで、ネパウエのミドルは捨てても良いという判断があってあえてクローズアウトしなかったという選択もあり得ますので付け加えておきます。
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こうしたローテーションでのミスも試合中全く無くすのは不可能でしょうし、重箱の隅を突つくつもりもありませんが、ゲーム中いくつかこうしたプレーを重ねて点数のビハインドが広がっていくとやはり、スッキリとした気持ちにはなりませんでした。

今はまだ、新メンバーが始動して1ヶ月。ルカ体制になってから今シーズンほどメンバーの入れ替えがあったシーズンはなく、そうした意思疎通の齟齬を見るにつけ、反対に、これからチームケミストリーが構築され、阿吽の呼吸でどこにパスが出されてどこで受けるのか分かり合え、また、どこでスイッチしてローテーションするのか、ハッキリと感じ合えるようになった時、アルバルクの本当の強さが発揮されることになるのだ思います。

勝負の行方

第4クォーター残り4分35秒の時点で64-74。
アルバルクは10点ビハインドでした。そこから残り3分11秒までの1分24秒の間に大貴のスリー、バスカン、ドライブと3連続得点で一気に4点差まで詰めました。さらに、残り2分13秒大貴のアシストからアレックスのスリーで75-76の1点差になりました。
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ここから勝ちきれない新潟が顔を出します。

それが、残り2分13秒からの新潟のオフェンスと、アルバルクのポゼッションでシュートを外した次の新潟の攻撃(残り1分20秒から)です。

新潟の1点リードでのこの2回の攻撃で、2回ともショットクロックオーバーとなり、2度も逆転のチャンスをアルバルクに渡します。

お互いにファウルを4つ犯しており、ファウルができない状況の中フェイストウフェイスのディフェンスでシュートを打たせなかったアルバルクのディフェンスも素晴らしかったです。

しかしながら、シュートは打たなければ入りません。この場面、2回とも最後にボールを持った新潟納見には最低限時間内にシュートは打って欲しかったです。
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それでも、まだまだ新潟にはロスコがいます。彼はここでドライブを決めて残り36秒でアルバルクを突き放し75-78、3点差としました。

残り26秒、続くアルバルクは大貴のレイアップのリバウンドからセカンドチャンスをロシターが押し込み再度77-78、1点差です。

ここでロシターのビッグプレーが出ました。エンドインバウンズからボールはロスコに出され、これにロシターはファウルを恐れずべったり付きます。

勝負に行きました。

ロスコからボールを奪います。ゴールが決まり逆転しました。残り20秒、79-78です。
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最後に、新潟の攻撃でロスコのスリーが外れて勝敗は決まりました。

ロシターの残り26秒のプレーについてバスケットボールキングの記事によると【最初はファウルをせずに安全にスティールを狙おうとしたというが、「1点ビハインドの状況だったので、やはりここは勝負をかけた」と賭けに出た一手だったことを明かした】とあります。

残り4分半からの大貴の集中力とファウルを恐れず勝負に行ったロシター。

ともにBリーグで優勝を経験した猛者です。アルバルクのこの日の試合内容は決して良いと言えるものではなかったように思います。ところが残り4分半で勝ち切った勝利へのメンタリティがあることを示しました。

一方、新潟はまだ若いガードの納見はひとつ経験を積んだことと思います。もう1ポゼッションを勝ち取れるメンタルを身につけているであろう次の3月の対戦が、また楽しみです。

photos by kii