アルバルク東京対川崎ブレイブサンダース、東地区の強豪同士の今シーズン初対決は1勝1敗で痛み分けに終わりました。

アルバルクは今シーズンホーム戦で初めて黒星を喫し、川崎は12勝4敗で単独首位から千葉、渋谷と勝ち星で並びました。
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この両者は1月5日に川崎のホームとどろきアリーナで天皇杯クォーターファイナルを戦います。そしてCSを控える来年4月末に両者の再戦がとどろきアリーナで試合が予定されています。

今節は互いに天皇杯、CSでの戦いを想定しながらの戦いであったと思われます。

この対戦で見えた、アルバルクと川崎の現状での戦略とその特徴を紐解いていきたいと思います。    

川崎のペイント攻略とスリーポイント攻勢

12/4アリーナ立川立飛で行われた第1ゲームは85-66で川崎がアルバルクを圧倒しました。

川崎はペイントでの得点で40点、28点のアルバルクを大きく引き離しています。シュートの確率でも32/64(50%)でアルバルクの26/67(38.8%)と水を開けています。
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ペイントでの得点についてこの日の川崎は
①ファジーカス、ヒースなどのビッグマン2人のスクリーンを2枚並べるスタッガードスクリーンからミスマッチを作り出し、そこを突いて攻撃しています。

②藤井、篠山2人のポイントガードのペイントアタックが効果的でした。

③ファジーカス、ヒース、アギラールのスリービッグ出場時に3番ポジションのアギラールがポストアップしてザックなどのアルバルクの3番選手とのミスマッチを攻めていました。

このようにして川崎がペイントを攻略したので2ポイント確率は61.5%と高確率となり、これを止めようとするアルバルクからファウルを誘い、17本ものフリースローを獲得しました。また、ターンオーバーも14本獲得しています。

一方で藤井、篠山のペイントアタックが成功するのでアルバルクのディフェンスが収縮します。

そこからのキックアウトなのでヒースやファジーカスのスリーポイントに実効性がありました。
特にヒースの第2クォーターでの4本のスリーポイントシュートは、この試合の勝敗の方向性を決めてしまったように思います。
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因みに、この日の川崎スリーの確率は8/25(45.5%)でした。

また、ジャニングの存在感は圧巻です。藤井、篠山に続いてプレイメイクができ、しかもそのシュート力は他を凌駕しています。

アルバルクはリーグ1、2を争うスリーポイントシュートを打たれないチームなのですが、彼のシュートモーションは速く、シュートコンテスト受けて多少タフなショットでもしっかり決めてきます。

川崎のアグレッシブでクレバーなディフェンス

川崎のこの日のディフェンスは常にアルバルクの先手を取っており、また、精度も高かったためにアルバルクは手の施しようがなかった感があります。

まず、最初の川崎のディフェンスでアルバルクに先制パンチを食らわせます。

「ブリッツ」です。

第1クォーター残り9分50秒
大貴がエントリーした途端にマークの増田とスクリーナーのカークのマーカー、ヒースが大貴にダブルチームに行き、コフィンコーナーに詰まりターンオーバーとなりました。
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アルバルクのピック&ロールも対策されてました。

第1クォーター残り8分48秒
大貴とロシターがピック&ロール。ロシターのスクリーンを使って大貴がウィングにドリブルしてから、ロールしたロシターにフリースローラインにパスが出ます。
大貴のマーカーの増田はスクリーンに捕まりましたが、テイラーのマークの藤井がヘルプに行きます。藤井とロシターのマークのファジーカスがロシターを挟み討ちしてロシターからボールをスティールします。
藤井から→増田→ジャニングと繋いでファストブレイクからジャニングがスリーポイントを射抜きました。

この他、川崎はタイムアウト後にはオールコートであたってみたり、2-3ゾーンを敷いてみたり、常にアルバルクの対策の先手を取ってディフェンスを展開しました。

また、川崎のリムプロテクトは強固でした。ヒース3本、アギラール1本、ファジーカス1本のシュートブロックでアルバルクのペイント攻略を許しませんでした。
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一方でアルバルクはゴール下での連係ミスが目立ちました。ロシターからのディッシュパスにカークが反応できなかったり、アリウープパスが不発に終わったり、決め手のところで選手間の意思の疎通が取れていないことが間々ありました。

アルバルクの修正能力

翌日12月5日の第2ゲーム、アルバルクが川崎に雪辱を晴らします。前日の試合で良いところなく敗れたアルバルクがいかに修正するのか注目していました。

結果は96-90でアルバルクの勝利です。注目するべきスタッツはペイントの得点、ターンオーバー数です。

アルバルクのペイントの得点は32点(川崎22点)です。
川崎のペイント得点を抑えて10点の差をつけて前日川崎に40点取られたペイントを攻略仕返しました。

ターンオーバーは前日の14本から9本とその数を減らして川崎ディフェンスに対応したことを示しています。逆に川崎から16本のターンオーバーを獲得してディフェンスで川崎を上回ることができた事を証明しています。
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では、アルバルクはいったいどこを改善したのでしょうか?

まず最初は、負けられない試合であったことから個々のインテンシティが高かったことが挙げられます。

具体的には、川崎のスタッガードスクリーンを使ったピックに対してポイントガードを務めるテイラーや大貴がアグレッシブにファイトオーバーの上でチェイスします。

こうする事で、スイッチをして対応する場面を減らしてミスマッチの出現率を減らしました。

さらに、安藤や小酒部はミスマッチとなってファジーカスとペイントでワンオンワンの場面になっても身体を張って守り切りました。

第1クォーター残り4分
篠山とファジーカスがピック&ロール。安藤はファジーカスのスクリーンにヒットしたのでロシターとスイッチしました。篠山は安藤とミスマッチとなったファジーカスにパス、安藤はペイントでファジーカスとワンオンワンになりながら身体を当てて守ります。
安藤に密着されたファジーカスはボールをファンブルします。これをサイズがスティールしてターンオーバーを誘いました。
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第2に第1クォーター残り2分20秒に出て来た川崎のスリービッグに対してアルバルクもロシター、カーク、サイズの3人で対応するアルバルク版スリービッグを初めて発動した事で川崎を驚かせたことです

ここでアルバルクはディフェンスを成功させます。また、続くアルバルクのオフェンスでも大貴のスリーポイント成功を呼び、アルバルク版スリービッグが川崎を相手に機能する事を証明したのです。

その後、川崎はスリービッグを使わなくなりました。

しかしながら、川崎はこの日もシュート確率が30/55(54.54%)と高く、特にスリーポイントは15/33(45.5%)とアテンプトが非常に多く且つ成功率も高かったのです。ファジーカス、ヒースのトップからのアテンプトは前日同様によく入り、ジャニングも4本のスリーを決めていました。
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これに対してアルバルクはテイラー、大貴がよりペイントの奥までアタックすること、折りを見てスリーポイントを放つことでサイズ、ロシター、カークのリバウンドからのセカンドチャンスを増やして対応しました。

またピック&ロールからロールするビッグマンのペイントでの攻撃をディッシュパスなど使わずにシンプルにすることでテイクファウルとペイントの得点が増えました。

こうして、川崎のスリーポイント攻勢に対してアルバルクがペイントの攻略をすることで勝負出来たのではないかと思われます。

また、この日のアルバルクはフリースローの確率が23/27(85.2%)と非常に高く川崎の15/21(71.4%)と比べると8点差があります。最終スコアの得点差が6点であったことから、これも勝負を分けた一因にあげられるように思います。

第2章へ続くライバルチーム

1月5日には同じ顔合わせで今度は川崎のホームで対戦します。お互いに全ての手の内はまだまだ出してはいないでしょう。

しかし、今見せている川崎の戦術は既に多彩です。

スタッガードスクリーンからハイローなどミスマッチを徹底的に突く戦術、ビッグラインナップにして3番選手のポストアップ、篠山、藤井の2ガードにしてヒース、アギラールで機動性を重視したユニットで攻撃のペースを変えること。そして、ジャニング、ヒース、ファジーカスのスリーポイント攻勢。

ディフェンスもブリッツなどのトラップ、オールコートプレス、ゾーンディフェンス。共に全てが魅力的です。
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アルバルクもアルバルク版スリービッグを試しました。
そしてアルバルクの代名詞ピック&ロールを連動させるオフェンスはさらにケミストリーを高めていけることでしょう。

前節に見せた戦いぶりはお互いにこの先を占う上でとても見応えのある対戦でした。

年明けと共に両チームは天皇杯優勝、Bリーグ優勝を目指して第2章へと続いて行きます。
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photos by kii