最終スコアは70-60。前日の第1戦からの2連勝で
悲願の初優勝です。
試合後、涙する選手を見ながら全力の戦いを見せてくれた選手たちに清々しい気持ちと感謝の気持ちを感じました。

ENEOSも満身創痍。
怪我人続出で不利な中、それでもレギュラーシーズンを勝ち進み15勝1敗の圧倒的な強さを見せました。
先週のプレイオフ準決勝ではデンソーを相手に15点差を逆転して決勝に上がって来ての連戦です。
出られる選手も少なく、宮澤、林は怪我明けで万全ではないのが目に見えていました。
疲れているのに違いありません。それでも岡本、宮崎を中心とした速いトラジションバスケを展開して喰らいつく姿は本当に感動を覚えました。
【皇后杯からの反省点】
決勝第2戦の試合はトヨタのゲームプラン通りに進んだのではないでしょうか。
そこには、昨年末12月20日同じ顔合わせで、同じ代々木第二体育館で行われた皇后杯決勝の反省が生かされていました。
皇后杯では前半トヨタの高さとセットオフェンスでペースを掴んで47-41とリードを奪います。
しかし後半第3クォーター残り5秒に逆転されてからENEOSの速いバスケットを止めることができず87-80でENEOSが優勝していました。
渡嘉敷、梅澤がいないENEOSに対し、今シーズンのトヨタはエブリン、ステ、河村、長岡と高さも枚数も充実しています。
一方で、速さとアウトサイドシュートはENEOSの方が分があるように思います。岡本、宮崎の速さとハンドリング、さらにはシュート力は脅威ですし、代表でシューターを務める宮澤、林も入り出したら止まりません。

トヨタはディフェンスに磨きをかけて来ました。
ベースはスイッチを基本としたローテーションディフェンスなのですが、ミスマッチをなるべくしないようにアイコンタクトで意思疎通を図ってマークする相手をリスイッチしていました。
そしてローテーションそのものが素早くスムーズです。
そして強みである高さを活かしたリバウンドの徹底です。
このリバウンドとディフェンスそして皇后杯で悔しい思いをしたチームとしての精神的な団結力がゲームを理想的な展開に導きます。
【第1クォーターにスタートダッシュできた要因】
この試合入りの3分間にトヨタが11-0のランでゲームの主導権を握ります。なぜペースを握れたのでしょう。
長岡の2本のスリーポイントが効果的でした。
ENEOSの梅嵜HCはゲームの入りに1-2-2のゾーンディフェンスを仕掛けてきました。
狙いはトヨタのオフェンスリバウンド対策でしょう。ゾーンで中を固めてトヨタの今シリーズ確率の悪いスリーを打たせてトラジションでペースをつかもうという狙いに見えました。

いきなりの長岡の2本から出端を挫かれてリバウンドは取られ、安間にはスティールされ、再度三好にスリーを決められて、たまらずタイムアウトをとりました。
その後、ENEOSはゾーンはやめています。
トヨタはスリーポイントの確率はこの試合28.6%です。この試合全部で6本の成功のうち最初の3分で3本出ています。ENEOSにはついていない出だしでした。
このクォーターENEOSも前日の反省からここから反撃して15-19、4点差とビハインドを縮めました。
【第3クォーターファーストプレーが試合を決めた】
第2クォーターは一進一退で14-14で点差は広がらず、33-29で第3クォーターに入りました。
ENEOSボールのファーストプレーでENEOSはこの試合初めて使うセットで仕掛けました

トップで宮崎がエントリー、左コーナーに岡本
藤本と中田が右エルボーに並んでスクリーナーになるカーテンスクリーンです。
岡本がゴール下からマークの三好を引き連れてカールして上がってカーテンに三好を引っかけて右ウィングに上がって宮崎からパスを受けます。
スイッチして長岡が岡本につきます。
岡本の上りと同時に右コーナーにいた宮澤が左コーナーに移動していましたが、藤本中田のカーテンが45度向きを変えて左スクエアラインに沿ってカーテンをセット。これに合わせて宮澤はマークのエブリンをスクリーンに当ててオープンになる。
のが狙いでした。

トヨタのディフェンスは見事でした。
藤本のマーク河村はフリースローライン下にドロップ、岡本のマークから戻った三好はエブリンとアイコンタクト、三好は宮澤につきエブリンは中田につきました。
パスの出し先のない岡本はその間中央突破のドライブに行きますが河村に止められ、この攻撃は失敗に終わりました。
このファーストプレーでENEOSのセットを止めたトヨタはこの後ディフェンスでほぼENEOSをシャットアウトしてこのクォーター9点に抑え、20点を加えて53-38の15点のアドバンスを得ました。
ENEOSの爆発力を最後まで警戒するトヨタには隙はなくこの流れのまま勝負がついたと考えています。
リバウンドは高さのトヨタが強いとは言いましたが長岡14本がリバウンドのチームハイです。
次は161センチ1番小さな安間の10本です。
つくづくリバウンドは気持ちが大事なんだと思います。

キャプテン三好は
「以前は悪くなると選手同士で目を合わさず個人プレーに走っていました。今日の試合は悪い時間でも目を合わせ、みんなで声をかけあっていて、そこがチームが1番変わったところだと思います。」
とコメントしています。
まさにそんなところが試合を決めたのだと思います。
皇后杯からの成長、これが歴史的リーグ優勝の糧になったことは間違いありません。
アンテの皆さんおめでとうございます。