「小よく大を制す」小さいものほど、大きいものを見事に制するものです。小さいからといって、最初から勝負を諦めてはいけません。 勝負においては、小さいことが有利になる場合だって多いのです。(出典:名言格言辞典)

アップをしている時、ベルギー代表のサイズの大きさに気圧されました。日本のフォワード、181センチのエブリンが小さく見えます。ベルギー代表はエースのミースマン(192)にリンスキン(192)ワウターズ(190)ヒェルドフ(197)渡嘉敷クラスのサイズが4人もいます。
こんなチームに対してどう戦うのだろう。

4DC3B2BB-3356-4135-A321-5EA2E7AE847E.jpeg 1.2 MBそんな心配は杞憂に終わりました。

この試合でトム・ホーバスHCは小さきモノ=ニッポンの戦い方を示してくれました。

61A3B327-8772-42C9-B7F7-BDD47FB40188.jpeg 2.02 MBオリンピックを直前に控えた女子バスケ国際強化試合三井不動産カップ日本代表対ベルギー代表は7月15日に埼玉のサイデン科学アリーナで行われました。
結果は日本代表が84-76でベルギーを退けました。

日本はFIBAランキング10位、ベルギーは6位のランキング上位チームです。このゲームでオリンピックでのメダルの可能性を期待せずにはいられなくなりました。

見えてきた日本代表が目指す戦い方を拾ってみたいと思います。

目指すスモールボールって何?

バスケットではサイズが大きければリバウンド、ペイントでは有利ですし、ミスマッチがあればそこを突いてくるのは定石です。それに対してスモールラインナップでNBAで優勝したチームがあります。

ゴールデンステイト・ウォーリアーズです。

特に2018年のプレーオフでのクリス・ポール、ハーデン率いるロケッツとの対戦はスモールラインナップ同士の対戦で注目を集めました。

その時のバスケットはサイズの小さなラインナップで速くて、高確率のスリーポイントを量産する戦術でした。それを「スモールボール」といいます。

特徴的には特定のセンタープレーヤーを設けずポジションは流動的且つ運動量を多くして相手のディフェンスを混乱させます。

スリーポイントを量産して且つ高い確率で決める事でサイズ不足を補う戦術です。

9129A8B3-6A64-4EF7-BA55-F33BC72E8C09.jpeg 1.07 MBまさに、日本女子代表はこれをベルギー相手に実践して見せました。

多用したトラップディフェンス

第1に素晴らしかったのはディフェンスです。
ベルギーから24本ものターンオーバーを誘い、12本ものスティールを奪いました。

40分間ハードに張り付き激しくプレスします。

第1クォーター残り3分7秒相手ポイントガード、5番メスタフがエントリーし、13番リンスキンと11番ミースマンのホーンセットをセットしていました。ミースマンがピックに行ったところミースマンのマーク、エブリンがガードのメスタフにハードショウに行きます。元々のメスタフのマーク宮崎もメスタフを追いダブルチームでコフィンコーナーに追い詰めました。そして出された苦しいパスを林がスティールしました。

第2クォーター残り20秒のラストプレー、相手のエンドインバウンズです。
ひまわりと町田でダブルチーム、相手が繋いだところ次モエコとひまわりがハーフコート超えたコフィンコーナーでダブルチームで詰めます。
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町田は下がってパスカットを狙い、苦し紛れにボールが出たところをスティールしてそのままレイアップに持ち込みました。

前半は1点勝ち越してして後半を迎えることができたのです。
A3E8BFEF-8CD2-455C-AFDC-E7C9E05C076A.jpeg 1.48 MB日本はブリッツ、ハードショウなどトラップディフェンスを多用して常にボールを奪いにいくアグレッシブなディフェンスをしていたのです。

スリーポイントの目標値

試合後のインタビューでホーバスHCがこの日のスリーポイント確率33.3%について聞かれた時に「スリーポイントは40%欲しい」と答えていました。

これは以前から公表している事です。
ホーバスHCはスリーポイントは1試合で12、3本を入れることを目安にしているようです。

この日のスコアリーダー三好のスリーポイントは5/8でよかったのですが、スモールボールの生命線は高確率のスリーポイントにあります。

そしてそれは複数の選手が高い確率で成功させるから有効になるのです。

相手に的を絞らせないオフェンスが成り立つからです。ひとりシューターに頼らない姿勢が大切になります。
EFF79179-7A35-4B50-A975-1587F13D9D0A.jpeg 1.09 MBその辺はモニカ、高田、長岡がしっかりスリーをアテンプトして決めていました。日本が目指す方向性にしっかりと向かっているところを示しています。

リバウンドと速攻

スピーディーなゲーム運びも「小さきモノ」が勝つための手段です。
トラジションはディフェンスリバウンドから町田のロングバスに見られるように、広い視野から繰り出される素早いフィードにベルギーはついていけていませんでした。

速い展開は日本の武器になっています。
トラジションの場面は相手のターンオーバー(24本)スティール(12本)そしてディフェンスリバウンド(18本)がありますが、機会を多く持てるほどに得点のチャンスは広がり相手へのプレッシャーは強くなります。

一方で、日本のウィークポイントのリバウンドは日本29本に対してベルギー38本、トータルで9本取り負けていました。
C1944A8C-236E-4B7E-B791-B051C5A2C4D0.jpeg 1.28 MBそこはサイズに劣る日本は仕方ないところかもしれませんが、今回特筆するべき点がありました。

オフェンスリバウンドです。

オフェンスリバウンドは日本が11本ベルギーが6本です。
圧倒的なサイズの違いを負いながらオフェンスリバウンドを5本上回ったのはなぜなのでしょうか?

オフェンスリバウンドのうちチームリバウンドが1本、5本がフロントコート陣長岡、高田、ひまわり、残りの5本が宮崎、東藤が獲ったものです。

スモールボールのチームらしく、ポジションレスです。
全員がリバウンドの意識を持っているからこそガード陣のリバウンドが増える、
と言いたいところですが、実際はロングレンジからのシュートアテンプトが多いのでボールがリングに当たって跳ねます。そこを抑えることになるとゴール下の選手よりその周りの選手の近くに跳ねたということだと思います。

ただし、高さで劣る日本は一回でリバウンドを抑えることは難しいのでボックスアウトはもちろんですが、味方にボールを弾く事でボールキープするということをやっていました。
D5A85FF1-CBA5-47AC-9636-0052561C5473.jpeg 945.51 KBわかっていてもそれを実践することは難しいことです。
打ち合わせして明日できる類のものではないので、ホーバスHCがリオオリンピックの頃から取り組んで日本に根付かせてきたものなのだと信じたいです。

いよいよ本番。世界の震撼させよう。

エース渡嘉敷の不在。アジア大会MVP本橋、日本のシューター宮澤の怪我からの復帰がまだ不十分な現状で始まるオリンピックは不本意だと思うバスケットブースターは少なくないと思います。

しかし、吹っ切れた。

渡嘉敷という高さを無くしたニッポンの選択肢は否応なうひとつしかなかったのです。

「小さきモノの戦い方」で世界中を驚かせる時がやってが来ました。
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グループBの日本女子は7/27フランス(5位)、7/30アメリカ(1位)、8/2ナイジェリア(14位)と対戦します。
CF38350B-567E-41F4-A2B0-50D522C7D4A2.jpeg 2.03 MBホーバスHC率いる女子日本代表の戦いぶりが今から楽しみです。