開幕第2節、アルバルクのホーム開幕戦は富山グラウジーズを迎え連敗スタート同士の対戦となりました。

大型補強したアルバルクは琉球にまさかの連敗を喫し、かたや、富山は元チームメイトの信州岡田に痛い恩返しをもらってからの対戦です。お互いにこれ以上の連敗は避けなければなりません。

琉球の徹底したハイピック潰しを解消できなかったアルバルクの前節を見て、攻撃の主体ピックアンドロールは研究され尽くされたのではないか?ルカバスケの限界が来たのではないか?こうした懸念を訝しむアルバルクファンもいるように思います。

これに対してアルバルクが苦手とするポイントフォワードマブンガ、強力センタースミスに加えてKJ松井、晴山のスリーポインターはハマればその爆発力は想像に易い存在である富山を相手に如何に組みするのか。興味の尽きないところでした。
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はたして結果はアルバルクの96-71、114-81と2ゲーム連勝に終わりました。「やっぱり今年のアルバルクは強い」と感じさせてくれました。そこで、今回は琉球戦からの違いは何か?ルカバスケの奥行を検証してみたいと思います。

今年の富山グラウジーズ

昨シーズンCSに進出した富山はアルバルクとは2勝2敗、東地区4位という強豪です。
その特徴はマブンガ、スミスを中心としたリーグ1のオフェンスチームです。平均得点は89.2点と平均で90点に届こうかという恐ろしい破壊力を持っています。
宇都の存在もあり速攻も多く出しており、ハイペースであると共に、インサイドではスミスが飛べばリバウンドを制しファウルを貰いセカンドチャンスをモノにします。

昨年のアルバルクはしっかりセットを組むためペースは遅くロースコアで展開しオープンを作ってスリーポイントで得点していくチームでした。インサイドはウィークポイントでしたのでマブンガ、スミスのいる富山は苦手なチームのひとつに見えました。
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今年はシューターKJ松井と晴山ケビンが加入して、移籍した岡田、前田の穴を埋めています。
さらに元NBA走れるビッグマン ブライス・ジョンソンと小野龍孟が入ってマブンガ、スミスとのタイムシェアもできています。

一方で失点の平均は84点あります。リーグ17位とこれはかなり下位です。攻撃ではトランジションで速攻を繰り出すのですがディフェンスではハリーバックに問題があるようでした。この連戦でも2戦目アルバルクのディフェンスリバウンドからのアーリーオフェンスに1枚ディフェンスが遅れてアウトナンバーとなり、フリーの小酒部がエンドラインドライブからキックアウトしてオープンの元基にスリーを決めらたりしています。

琉球戦からの進化

開幕戦琉球に連敗を喫したアルバルクでしたが、「これだけのメンバーを揃えて連敗するとはどうなっているのか?」とか「アルバルクのピックアンドロールは読まれているし対策されている」などなど、いろんな所で言われましたが今節の第1ゲームを見て『ルカバスケを信じる理由』がはっきりとしました。

琉球戦ではPGの大貴や元基がハイポジションでエントリーするとき激しくディナイされ、ピックにはファイトオーバーされアルバルクのオフェンスの起点ピックアンドロールがしにくい状況が続いていました。
今節の富山は琉球のような激しいボールマンマークはありませんでしたが、フリーでピックアンドロールのエントリーする事に成功しています。

例えば1クォーター残り7分4秒
大貴が右サイド側にバックコートからドリブルで降りてきます。右コーナーの小酒部が右ローポストロシターのダウンスクリーンと右ハイポストアレックスの2枚のスクリーンを使ってトップオブザキーの位置に上がります。そこで大貴からフリーでパスを受けます。
そこからアレックスが再度スクリーンセット。ロシターは左ウィングに上がり、小酒部がスクリーンを使った後アレックスは左ハイポストに移動してスペースを空けます。
小酒部はピックを受けドライブ、レイアップが決まりました。
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ロシターがボールを運ぶ事でガードのボールプレッシャーを避ける工夫もあります。
第3クォーター残り9分
ロシターがボールを運びトップの位置。左ウィングの大貴がロシターとハンドオフ。ロシターは左ローポストへ
右ハイポストにいたアレックスと大貴がピックアンドロロール。大貴はドリブル、ジェイル(ドリブルしながら止まり背中でマークマンを抑える事)右エルボーのアレックスにパス、アレックスのミドルジャンパーが決まります。
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このようにオフボールスクリーン、ハンドオフを流れるように遂行してトップオブザキーからフリーでオフェンスを開始することで琉球戦の課題をクリアしています。

アルバルクのディフェンス、富山のアジャスト

アルバルクのディフェンスに対する翌日第2ゲームでの富山の対応が素晴らしかったです。

第1ゲームアルバルクはディフェンスで苦手な巨人スミスの対策を打っています。これは昨年から続けているローポストにおけるスミスへのパワープレー対策です。

ローポストにスミスが入るときマーカーはアレックスですが、ウィークサイド(反対側)コーナー(晴山とか)のマーカーがスミスに寄ってダブルチームを組みます。出てくるパスのスティールをウィークサイドのウィングのマーカーが狙っていました。初日は上手く機能しました。

翌日の富山はダブルチームを組んだ瞬間にベースラインをウィークサイドコーナーの晴山がカットして苦しくなる前にスミスがパスを出してバスケットカウントで得点しました。
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次にウィングマーカー大貴が晴山をケアしていると、スミス→トップの宇都→ウィングのKJでスリーを決めらたり(第1クォーター残り8分43秒)、トップにマブンガがいてそこにパスを捌かれスリーを決められました。(第1クォーター残り7分28秒)

アルバルクの高確率スリーポイント

第2ゲーム第1クォーターは富山はダブルチームに対するディフェンスへのアジャストやマブンガのアイソレーション。KJ、晴山、マブンガのスリーポイントなどでインテンシティ高く戦っていました。さらに1クォーター残り2分32秒からはゾーンディフェンスを敷いてアルバルクの目先を絞らせない展開をしてきました。

対するアルバルクはオフェンスの起点はポイントガードの大貴、元基だけでなく小酒部、ザック、周人がプレイメイクをします。スクリーナーもロシターとアレックス、サイズの3人が入れ替わり立ち替わりでどの組み合わせのピックアンドロールでもポップでも決めることができました。
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アルバルクのファーストオフェンスはアレックスのスリーでした。第1クォーター残り9分37秒。
大貴が左サイドからボールを運びます。右コーナー小酒部がロシターとアレックスの2枚のスクリーンを使ってトップに上がりフリーで大貴からボールを受けます。そこからアレックスとピックアンドロールをしますが、スミスに行手を塞がれたので右コーナーの大貴にパス、そこでアレックスが大貴にスクリーン、アレックスは右ウィングにポップします。大貴はアレックスにキックアウト。アレックスのスリーが決まりました。
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第1ゲームのアルバルクはスリーは5/12で第1クォーターはアテンプトが元基の1本だけでした。
琉球戦の時も気になっていたのですが、昨シーズンスリーポイント決定率リーグ1位のスリーポイントチームのアルバルクが、アレックスのエルボージャンパー然り、ザック、小酒部のペリメーターシュート然り、本来ならスリーで打てるシュートをペリメーターで打つケースが多く、コーナースリーもなかなか見られないところが気がかりでした。

それも杞憂でした。

この日第1クォーターまでは富山に喰らいつかれていましたが、第2クォーターには富山のゾーンディフェンスに対してローポストにアレックス、ハイポストにロシターを配してボールがよく回りました。
左コーナーからザックのスリー、さらに今度は右コーナーからザックのスリーが連続で決まるなどしてこのクォーター4本のスリーをメイクしました。
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この日のアルバルクはピック、ハンドオフなどのズレからオープンを作ってザック4/4、元基3/3、ロシター2/2など15/21(71.4%)高確率のスリーポイントシュートでオフェンスNo.1チームの富山に打ち勝ちました。

これは今後の自信にもなったでしょうし、ルカのバスケットを信じて正しく遂行すれば必ず勝てるというマインドが選手にもアルバルクファンにも伝わった試合になったと思います。

今後のアルバルクの成長に期待

ロシター、サイズ、アレックスはタイムシェアしながら25分前後のプレータイムで15点から20点をバランスよく得点しています。リバウンドも第1ゲームアルバルク37本、富山30本で7本差、第2ゲームアルバルク39本、富山21本で18本差。
これだけリバウンドで差をつけることができると、インサイドが弱点であっただけに、アルバルクファンからすると信じられないアドバンスです。

これは彼らインサイド陣の能力によるモノが大きいです。
一方ペリメーター陣の小酒部、周人、ザックのプレイメイクやパスにはミスもありました。もっともっと精度を上げることができるでしょう。
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吉井はBリーグデビューを果たし、そのフィジカルの強さからスピンムーブして初得点した際には晴山をふっ飛ばしていました。
テイラーはまだ練習時間が足りていない感じですが、テイラーのプレイメイクからの得点も期待できそうです。

さらに精度を上げてルカのバスケットを極めることで頂点を目指せる強さを身につけてもらいたいと願います。
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photos by kii